オープンから逆算した理想のスケジュール
まず、理想的な進め方を示します。制作期間そのものは1ヶ月から1ヶ月半ですが、開業案件では他の準備と並行するため、余裕を見て2ヶ月前にはご相談いただきたいところです。
| 2ヶ月前 | ご相談・お見積り。オープン日、店舗の場所、コンセプト、ロゴの手配状況を確認します。この時点で全部が決まっている必要はありません。 |
|---|---|
| 1.5ヶ月前 | 構成の決定とデザインの着手。メニューや価格の方向性が見えていると、内容のある提案ができます。 |
| 1ヶ月前 | ロゴの確定が欲しいタイミング。デザイン全体の印象がここで固まります。 |
| 2〜3週間前 | 内装の完成と撮影。工事の進捗に左右される、最も読みにくい部分です。 |
| 1週間前 | テストアップと実機確認。電話番号、予約リンク、注意事項を実際の端末で確認します。 |
| オープン前 | 公開。予約受付の開始時期に合わせて調整します。 |
これが基本の形です。ただし、この表の通りに進んだ案件は、正直なところあまり多くありません。次からは、実際に何が起きるかを書きます。
内装が完成しないと、写真が撮れない
開業案件で最も読みにくいのが、内装工事の完了時期です。そして、ここがサイト制作の最大のボトルネックになります。
理由は単純で、内装が完成しなければ写真が撮れないからです。サロンのサイトは空間が主役なので、写真がないとデザインを完成させられません。
経験上、工事は後ろ倒しになることはあっても、前倒しになることはまずありません。資材の入荷、設備の設置、細かな仕上げ。どれかひとつが遅れれば、全体が押します。オープン日は決まっているので、しわ寄せが来るのは直前の工程、つまり撮影と公開準備です。
ですので、スケジュールを組むときは、工事が予定通り終わらない前提で考えます。撮影日を最終週に置くのではなく、そこが押しても公開に間に合う組み方をしておく。具体的には、写真以外の部分を先に完成させておき、写真だけを最後に差し込める状態にしておきます。
写真が間に合わないときの代替手段
それでも間に合わないことはあります。その場合に使う方法がいくつかあります。
- 建築パース内装を設計した建築士が作成した完成予想図を使います。実際の空間の雰囲気を正確に反映しているので、代用として質が高い方法です。
- CG規模の大きなサロンでは、CGで空間を再現したものを使ったこともあります。パースと同様、完成形を先に見せられます。
- その時点で撮れるものを撮る工事中でも、素材や什器の一部が入っていれば、寄りのカットは撮影できます。全体が見えなくても、質感は伝わります。
いずれの場合も、実物の素材が上がり次第、差し替えるのが基本です。オープン後、できるだけ早い段階で実際の写真に置き換えます。
ただし、パースやCGをそのまま残すこともあります。完成予想図には、実際の写真では撮れない視点や、空間全体を俯瞰した構図が含まれていることがあるためです。イメージ画像として機能するのであれば、併用する判断もあります。
メニューもスタッフも、直前まで決まらない
写真だけでなく、載せる情報そのものが直前まで固まらないこともよくあります。メニューの構成、価格、スタッフの顔ぶれ。開業準備は同時に多くのことが動くので、当然といえば当然です。
この場合は、汎用性のあるダミーの情報で埋めた状態を作り、まず全体を確認していただきます。文字数や構成の感覚が分かるので、実際の内容を考える助けにもなります。
そのうえで、決まった順に差し替えていく。公開前日に最終的な情報を流し込んで調整する、ということも実際にあります。
大事なのは、情報が決まっていないことを理由に制作を止めないことです。止めてしまうと、決まった瞬間から公開までの時間が足りなくなります。器を先に作っておき、中身は入り次第流し込む。この順序であれば、直前の決定にも対応できます。
ロゴは1ヶ月前までに欲しい
開業時は、ロゴ、名刺、ショップカード、看板といった制作物が同時に進みます。Web側から見て最も影響が大きいのはロゴです。
色、書体、線の太さ。ロゴが持っている性格が、サイト全体の印象を決めます。ロゴが確定していない状態でデザインを進めると、後から全体を調整し直すことになりかねません。ですので、1ヶ月前までには確定していてほしいところです。
ロゴを当社で制作するのか、外部に依頼されているのか。これは最初の相談の段階で確認します。外部の場合は、進行状況を共有していただき、方向性が見えた段階から並行して進められるようにします。
名刺や看板についても、進行中の資料を共有いただければ、それらを参考にしながらWeb側のトーンを揃えていけます。完成を待つ必要はありません。
先に決めておくと進みやすいこと
すべてを早く決めるのは無理です。開業準備には物件、内装、機材、仕入れ、届出と、Web以外にやることが山ほどあります。
そのうえで、先に決まっているとサイト制作が進みやすくなるものを挙げると、次の順になります。
- オープン日すべての逆算の起点です。多少前後する可能性があっても、目標の日付があれば組み立てられます。
- コンセプトどんな店にしたいのか。言葉として整理されていなくても、大事にしたいことが話せる状態であれば十分です。
- ロゴの手配状況誰が、いつまでに作るのか。自分で作るのか、依頼するのか。
- メニューの方向性価格まで確定していなくても、どんな施術を主軸にするのかが分かれば構成を組めます。
- 予約の受付方法どの予約サービスを使うのか。導線の設計に関わります。
この5つのうち、最初の2つが決まっていれば相談は始められます。残りは進めながら固めていく形で問題ありません。
逆に、すべてが決まるまで相談を待つと、着手が遅れて選択肢が減ります。決まっていない状態で相談することのほうが、結果的に良い結果になります。
オープン当日までに欠けてはいけないもの
公開のタイミングは、予約の受付開始時期に合わせます。サイトを見た人がその場で予約できない状態は避けたいので、予約サービスの準備と足並みを揃える必要があります。
プレオープンの告知やSNSとの連動も、この時期に重なります。そして、これらもやはり直前になることがほとんどです。
ですので、公開直前は密に連絡を取りながら進めます。どれかひとつが欠けたまま公開されることのないよう、最後まで細かく対応する。開業は一度きりのタイミングなので、ここは急ぎます。
私自身、開業案件は結局すべてギリギリになるものだと思っています。だからこそ、押すことを織り込んだうえで、間に合わせる前提で組み立てます。
早く相談することが、唯一の余裕
逆算表を示しておきながら、その通りに進まないと書いてきました。矛盾しているようですが、そうではありません。
表がないと、どこが遅れているのかが分からない。予定があるからこそ、押している部分を把握して手を打てます。守るための表ではなく、状況を見るための表です。
そのうえで、ひとつだけ確実に効くことがあります。早く相談することです。
決まっていないことがあっても構いません。むしろ、決まっていない段階で話しておくほうが、決めるべきことの順序が整理されます。2ヶ月前に一度話しておけば、そのあとが押しても選択肢が残ります。
開業準備の中でサイトは後回しにされがちですが、オープン当日に店の情報が見つからないというのは、機会の損失としては小さくありません。早めに一度、相談だけでもしておくことをお勧めします。