リクルートページは、いつ必要になるか
サイトを作るとき、採用ページを最初から入れるかどうかは、状況によって変わります。
開業のタイミングで作る場合、スタッフはすでに揃っていることがほとんどです。この段階で優先すべきなのはお客さま向けの情報なので、採用は次のステップに回すことが多くなります。予算を抑えて小さく始める場合はなおさらです。
一方で、採用そのものを目的としてサイトを作るケースもあります。人が足りていない、店舗を増やしたい、募集をかけているが応募が来ない。こうした状況であれば、リクルートページは最初から必須の要素です。
実際、公開後にあとから増設される例が多いページでもあります。募集をかける段階になってから作るほうが、書く内容も具体的になるからです。
応募者は、自分がそこに立つ絵を探している
応募を考えている人がサイトを見るとき、何を確かめているのか。ここが分かっていないと、載せる情報の優先順位が決まりません。
私は、大きく2つだと考えています。
ひとつは、自分が目指す美容師像と、その店の理念が一致しているかどうかです。
技術を突き詰めたいのか、接客を大事にしたいのか、独立を目指しているのか。人によって目指す方向は違います。その方向と、店が大事にしていることが噛み合っていなければ、入ってから苦しくなる。応募者はそれを、求人票の条件だけでは判断できません。
もうひとつは、その場所に自分が立っている絵を想像できるかどうかです。
これが、リクルートページに写真が必要な理由です。どんな空間で、どんな人たちと、どういう空気の中で働くことになるのか。それが見えると、応募は現実的な選択肢になります。逆に、文字だけの求人情報からは、この想像が立ち上がりません。
採用を考えるとき、条件を良くすることばかりに目が向きがちです。もちろん条件は重要ですが、条件だけで選ばれた場合、より良い条件が現れたときに離れていきます。理念に共感して、その場所で働く自分を想像して入ってきた人のほうが、長く続く。
離職率が課題になりやすい業界だからこそ、入口の段階で何を伝えるかが効いてきます。
条件と、それ以外
載せる情報そのものは、サロンごとに違います。何を大事にしている店なのかによって、伝えるべきことが変わるからです。ですので、構成はお店の状況に合わせて組み立てます。
そのうえで、多くのサロンが重視していて、応募者も知りたがっている項目がいくつかあります。
- 練習制度・カリキュラムどのように技術を身につけていくのか。営業後の練習はどう組まれているのか。美容師にとっては成長の速度に直結する部分で、特に若い応募者が重視しています。
- 福利厚生休日の取り方、社会保険、産休や育休の実績。長く働けるかどうかの判断材料になります。
- 社内のアクティビティ研修や勉強会、スタッフ同士の交流。店の雰囲気が最も表れる部分で、写真があると伝わり方が変わります。
- 給与・待遇明記されているほうが、応募のハードルは下がります。曖昧なままだと、問い合わせる手間を嫌って離脱されます。
特に練習制度については、書かれていないサロンが多い印象です。当たり前に行っていることほど、わざわざ書くものではないと思われがちですが、外から見ている応募者にとっては分かりません。
何時から練習があるのか、誰が見てくれるのか、どのくらいの期間でデビューするのか。具体的に書かれているだけで、そこで働く自分の日々が想像できるようになります。
もうひとつ、オーナーから応募者へのメッセージがある場合は、それをしっかり表現できるように作ります。
短くても、その人の言葉で書かれたメッセージは伝わります。どういう仲間と働きたいのか、何を一緒にやりたいのか。テンプレート的な文言ではない言葉が置かれているページは、それだけで店の姿勢が伝わります。
スタッフページは、採用にもっとも効く
リクルートページの話をしていますが、応募を考えている人が最も熱心に見るのは、実はスタッフ紹介のページかもしれません。
理由は単純で、そこに載っているのは自分の先輩になる人たちだからです。どういう人たちの中で働くことになるのか、誰から技術を教わることになるのか。それを確かめないまま応募する人はいません。
だからこそ、ここで憧れてもらえるかどうかが効いてきます。
きちんと撮影された写真で、一人ひとりが魅力的に見えること。この人たちと働きたい、この人みたいになりたい、と思ってもらえること。お客さま向けに作ったページが、そのまま採用の武器になります。
スタッフ写真の撮影に予算を割く価値は、集客だけで判断すると見誤ります。採用にも同じだけ効いている。求人媒体に毎月掲載費を払い続けることを考えれば、一度きちんと撮影しておくほうが投資として合理的な場合もあります。
求人媒体では判断基準が足りない
求人媒体に掲載しているサロンは多いと思います。それ自体は必要なことで、やめる必要はありません。ただ、媒体には構造上の限界があります。
掲載されているすべての店が、同じフォーマットで並列に表示される。写真の大きさも、項目も、文字数の上限も共通です。比較するための仕組みとしては正しいのですが、並列に並べられた状態では、判断の材料が足りません。
給与、休日数、勤務地、駅からの距離。並べて比較できる項目は、どれも条件です。理念や雰囲気といった、実際に働くうえで最も影響が大きい部分は、その枠に収まりません。
この不足を補うのが自社サイトの役割です。そしてこれは、集客の場面で起きていることとまったく同じ構造です。ポータルサイトでは価格で比較され、求人媒体では条件で比較される。どちらも、店そのものを伝える場所が別に必要になります。
順序はどちらでも構いません。求人媒体で見つけてサイトを見る人もいれば、サイトを見てから媒体経由で応募する人もいます。大事なのは、応募に至るまでのどこかで、店をきちんと理解してもらうことです。
理解したうえで応募してくれた人は、入ってからのずれが小さくなります。採用の成否は、応募数よりもここで決まると思っています。
採用は、お客さまへの発信と地続きになっている
ここまで書いてきて分かるのは、採用のためだけに必要なものは、実はそれほど多くないということです。
理念が言葉になっていること。空間が写真で伝わること。スタッフが魅力的に見えること。これらはすべて、お客さまに向けて作るページでもあります。採用ページが担うのは、そこに練習制度や待遇といった情報を足し、応募への導線を引くことです。
逆に言えば、店のことがきちんと伝わるサイトを持っていれば、採用ページを作る土台はすでにできています。あとから増設しやすいページだと書いたのは、そういう意味でもあります。
募集をかけるタイミングになったとき、慌てて店の魅力を言葉にするのではなく、すでにある言葉と写真の上に採用の情報を置く。そのほうが、自然で、伝わるページになります。